vice versaー逆もまた然りー
三つ子の魂、百まで。
青春時代に共に過ごした友人とは、何年経って会っても、一瞬で当時の自分に戻れる。
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ちょっとマニアック、かもしれないお話。
あまりにも家の中でヒマだったので、数年前まで毎週のように吹いていた楽器を引っ張り出す。クローゼットの奥にあったそれは半分埃をかぶっていた。
それを見るだけで、なんだか悲しい。
私の楽器、クラリネットをこよなく愛し、高校を卒業した後も社会人の楽団に入り、上京したあとも東京で楽団に入っていた。高校の時、フルート希望だった私は、社会人の楽団に入ってから数年たっても「クラリネットなんて」と心のどこかで思っていた。けれど、突然ホンモノの音色を耳にしてから、音への向き合い方がまるで変わった。クラリネットは私にとっては無くてはならない生活の、いや自分の一部にすらなっていた。
引っ張り出した楽器に、息を吹き込む。
あぁ、そうだった、きちんと姿勢を正して、腹式呼吸にしないといい音色は鳴らないんだった。それにしても、ホントに鳴らなくなった。
30分程吹き続けて、疲れた頃にやっと「ほんの少しマシ」な音に戻る。
録音したものを心友に送りつける。
仕事中のはずのその友人は、即座に聴いてくれる。話が、弾む。
音楽の話をしている時の私たちは最強で、無敵だ。
もうなんせ、部活で共に吹いていた時、関西大会で共に吹いていたあの時から25年も一緒に音楽の話を尽きることなくし続けているのだから。
それでも、出産して、楽団への産後復帰はしたものの、半年後くらいに退団してしまった私と、故郷の古巣でまだ楽団を引っ張っていてくれる、彼女。
このマッピとリガチャー、なんて名前だっけ。(クラリネットの部品です)
あぁ、それはバンドレンのB 40ライヤーと、なんとかのヴェルサ。
・・・二人で考える・・・
ロヴナーのversa!!それ!!
みたいな会話をひとしきり。あぁ、楽しい。
もっと、音色(おんしょく)を気にせず息を吹き込んで吹いてみたら?
スケールを毎日5分だけ吹くとか。
あ、余ってるリガチャー、そっちに送るから試奏してみて!
コロナ禍でだって、一人で楽器を吹いてうまくなることは、できる。うん。
またすぐ吹こ。ちょっとばかり近所迷惑だろうけど。
私たちの関西大会でのコンクール自由曲はA・リード氏の「PUNCHINELLO」
イタリアの仮面道化芝居「コメディア・デラルテ」に登場するキャラクターのこと。
イタリア語では「プルチネッラ」イギリスでは「パンチネロ」、フランスで「ピエロ」に
転化したらしい。・・・え、ピエロって曲だったのか!!→今知ったw
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versa、という単語が英語だと「逆」、イタリア語だと「注ぐ」という意味なのは
彼女は知っているだろうか。リガチャーは・・・・どっちの意味だろう。